ものづくり補助金 採択後の流れ

補助金業務は、採択後からが大変です。補助金申請に携わった方であれば、その意味は分かるのではないでしょうか。補助金コンサルタントと一緒に事業計画書を作成し申請したおよそ2か月後に、公募結果が発表され喜ぶのもつかの間、その日からおよそ1年間の補助事業期間内でやるべきことがたくさんあります。

ものづくり補助金の採択発表の流れ
①交付申請
②補助事業開始
③遂行事業報告
④中間監査
⑤実績報告書
⑥確定監査
⑦精算払請求
⑧事業化報告

① 交付申請

まず、補助金は、採択されたらすぐに振り込まれません。補助金は基本的にすべての手続きを経た後に振り込まれます。振り込まれる補助金は事業者が申請する経費に基づき、補助上限額や補助率に従って算出されます。その経費を申請するのが、交付申請です。公募申請時に申請した事業計画書に必要経費を記載して採択されたため認められたのでは、と思うかもしれませんが、採択はあくまでも内定です。交付申請にて事務局は事業者が申請した経費が、金額として妥当か、補助金の趣旨に合っているかどうかを確認し、正式に経費として認められることになります。

金額の妥当性を証明するために、どの経費に関しても見積書が必要となります。機械・システム開発費を計上する場合は、見積書の合計額が税抜きで50万円を超える場合は、相見積書を取得する必要があります。技術指導や助言を専門家に仰ぐ費用として専門家経費を計上する場合も、決められた謝金単価に準じない場合は、相見積書が必要となります。

当然ですが、相見積書は同一の商品・サービスで作成する必要があります。事業者が相見積書を用意するのが難しい場合は、代理店や商社に相談してみるとアドバイスをもらえるかもしれません。

申請後、事務局から不備の指摘が入ることがありますが、即座に修正して再申請しましょう。通常、交付申請から交付決定まで1か月ほどかかります。交付申請の期日はありませんが、補助事業を完了させる終了日は決まっていますので、採択後速やかに交付申請を行うため、見積書等の必要書類を準備しておきましょう。

② 補助事業開始

交付決定が出たら補助事業を開始できます。すなわち発注が可能になります。交付決定前の発注は無効になりますので注意して下さい。設備の納期がかかる場合は、設置場所を用意します。実績報告書作成の際に、設置前の写真が必要となりますので、忘れずに撮影しておきましょう。また、納品時の写真も必要になります。トラックから荷下ろしし、事業所に搬入し、開梱して設置する一連の様子を必ず撮影しておきましょう。設置後試運転を行い、問題がなければ検収作業に入ります。設備には「もの補助シール」を貼付します。機械装置の型番付近に貼り、シールと型番の文字が認識できる写真と、装置全体の写真を撮っておくとよいでしょう。

購入先から受け取った納品書と請求書も必要書類なので保管します。検収書の発行が必要ですが、納品書に所定のサインを記入しておけば大丈夫です。

代金の振り込みは銀行振り込みにしてください。銀行に振り込みを依頼するときは、振込依頼書を保管します。ATM等で振り込む際は、振込明細書を取っておきます。通帳の表紙、見開き、そして代金を振り込んだページのコピーも取っておきます。

機械やシステムが導入されたら、試作や試運転などを行います。提出した事業計画書に、達成目標や到達度の検証方法を記載したと思いますが、それらが達成されるかどうか、確認します。

また、交付決定が出てしばらくしたら、事務局の担当者から直接連絡があります。補助事業を円滑に遂行するためのアドバイスや協力をしてくれますので、しっかり対応しておきましょう。

③ 遂行状況報告書

交付決定から実績報告まで長期間要する場合、中間報告を行う必要がありますが、この遂行状況報告書がそれに該当します。決められた期間までに、報告書と経費の執行状況を表す経費明細書を提出します。現状の補助事業の確認なので、もし事業計画書に記載したスケジュールから遅れている場合は、その理由を書く必要があります。

④ 中間監査

自治体によっては設備が納品された後を見計らって、事務局の担当者が納入場所を訪れることがあります。もちろん、あらかじめ担当者は事業者にアポイントの連絡をしますので、突然抜き打ちで訪問することはありません。中間監査の主な目的は、納入した設備、経理書類の整理状況の確認です。なにか不足等があれば指摘をしてくれます。補助事業完了時に提出する実績報告書の作成方法についても説明してくれることもあります。問題がなければ、1時間程度で終わることが多いです。なお、中間監査がない場合もあります。

⑤ 実績報告書

補助事業期間に行った内容をまとめる書類です。ウェブサイトにフォーマットがあるので、項目に従って作成していきます。実際の補助事業のスケジュール、目標達成度の検証や成果を試作品の写真などを記載します。事業計画書に記載した内容から流用できるところは活用して作成しましょう。

実績報告書と合わせて、経理書類の提出が必要となります。見積依頼書、見積書、発注書(注文請書)、納品書、請求書、検収書、振込依頼書などの書類にそれぞれ管理番号を付与して整理します。書類の日付が順番に矛盾がないよう発酵されているかも確認してください。なお、見積依頼書は発注先に見積書の発行を依頼する際に提出するものですが、実際の運用上そのような手順を踏むことは少ないと思います。補助金の形式的な書類となることが多いです。納品時の写真も所定の様式にまとめます。

電子申請する前に、事務局の担当者に確認依頼をし、不備があったら修正します。当社の経験上、指摘内容は自治体や担当者によってばらつきがあるようです。ウェブサイトに記載されているマニュアル通りに経理書類や実績報告書を仕上げたつもりでも、細部で不備を指摘される可能性があります。一発で通ることは少ないですので、指摘をされたら素直に対応し、速やかに不備を整えましょう。事務局の担当者確認後、電子申請を行います。

  ⑥ 確定監査

実績報告書を提出する前後に、担当者が事業者を訪問し、設備や書類の確認を行います。中間監査がある場合は、省略されることがあります。

⑦ 精算払請求

実績報告書に不備がなければ、補助金の額が決定されますので、実際に振り込む口座を申請します。申請から2週間程度で振り込まれることが多いです。補助金が振り込まれたら、ひとまず完了となります。

⑧ 事業化状況報告

補助金が振り込まれたのち、年に1回5年間にわたって事業化状況報告を行う必要があります。決算書の提出、補助金対象事業の売上・利益状況、事業化状況などを報告する必要があります。なお、利益が出ている場合は収益納付といって、補助金交付額を限度として収益金の一部または全部に相当する額を国庫へ返納する必要があります。当社が支援している範囲では、なかなか納付まで利益を蓄積することができる事業者は見当たりませんが、補助金は返す必要のない資金と誤解されている事業者やコンサルタントも多いので、留意しておきましょう。

なお、場合によっては、担当者が事業所を訪問し、設備や経理書類の確認、事業実施状況のヒアリングを行います。もちろん、事前にアポイントの連絡がありますので、準備をしておきましょう。

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