横浜市で音楽教室を経営している個人事業主です。新規事業として神奈川県内にワーケーション目的の施設を新しく建てて新規に事業を展開することを考えているのですが、適切な補助金はありますか。
お問い合わせありがとうございます。建物に関する主な補助金は、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、ならびに神奈川県ですと神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金が該当します。いずれの補助金も、個人事業主であっても法人であっても申請は可能です。ただし、建物に関する経費は、大きく分けて改修(現状の建物の内装や外装を改装・増設)と、新築(何もない場所に新たに建物を建てる)に分かれます。このうち、新築を対象にしているのは、事業再構築補助金のみとなります。
なお、事業再構築補助金は、主な申請要件である新型コロナウイルス感染症による売上高減少の影響を受けていないと対象になりませんのでご注意ください。
事業再構築補助金の対象経費「建物費」について
事業再構築補助金ですが、その公募要領の対象経費「建物費」を確認すると、気になる注釈があります。
※建物の新築については必要性が認められた場合に限る、そして、※建物の新築に要する経費は、補助事業の実施に真に必要不可欠であること及び代替手段が存在しない場合に限り認められます。
「新築の必要性に関する説明書」を提出してください、とあります。これは、つまり建物の改修に比べて新築が認められるハードルが高いことを示唆しています。では、「新築の必要性に関する説明書」とは、どのようなものでしょうか。
新築の必要性に関する説明書
「新築の必要性に関する説明書」は、事業再構築補助金のサイトの電子申請用資料からダウンロードできます。
記載すべき内容は、①補助事業の概要及び建物費の詳細、②新築が必要である理由、の2点です。
①補助事業の概要及び建物費の詳細
①に関しては、計画する補助事業において経費に計上しようとしている建物費の概要や目的、概算経費などを記載します。事業の実施には建物が必要であり、建物が事業の中核的な役割を示すことを理由とともに説明すれば十分かと思います。
②新築が必要である理由
②に関しては、新しく建物を建てなければならない理由を書く必要があります。
なぜ、既存の建物の利用や改修では、事業を遂行できないのかを説明しなくてはなりません。
この要件をクリアする理由を記載するためには、事業再構築補助金のサイトのトップページにある、【建物の新築について】を参照すればよいかもしれません。
新築の必要性の判断例が、必要性を求めるケースと、必要性が認められないケースに分けて記載されています。
必要性を認めるケース
必要性を認めるケースとして、生鮮魚介類加工業者と、農家の例があります。
前者のケースでは、キーワードとして、輸送費の発生による補助事業の採算性や経済効率性が挙げられています。
後者のケースでは、計画地域内に購入可能な既存建物がないことや、ブランド戦略上近隣での運営が不可欠なことが述べられています。
補助事業の実施に大きな影響を与え、代替可能な建物がないというケースであれば、認められる可能性がありそうです。
必要性が認められないケース
反対に、必要性が認められないケースとして、温泉旅館業者や金属製品製造事業者の例があります。
前者のケースでは空いた客室の改修で代替可能、後者のケースでは既存の貸しオフィスサービスやリモートワークなどの代替サービスで対応可能という判断がなされています。
したがって、既存の設備やサービスで代替可能であれば、建物を新築までして用意する必要性はないという判断が下されるようです。
ただ、もし「新築の必要性に関する説明書」の②に、既存の建物やサービスは存在するが、それらを改修または利用すると、経済合理性に欠け、事業の目的を満たすことができないなどと具体的で説得力のある説明ができれば、新築の必要性が認められるかもしれません。
新築ではなく改修の場合
また、新築ではなく改修であれば、小規模事業者持続化補助金の委託・外注費、さらに神奈川県に事業所があれば神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金の施設工事費が活用できます。
小規模事業者持続化補助金の委託・外注費の活用事例に、「店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼(契約必須)」とあります。
神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金に関しては、公募要領に「補助事業の遂行に必要な工事に要する経費」とありますが、補助対象経費となる例とならない例が記載されているので注意しましょう。
対象となる例では、大型機械導入に係る動線変更工事、テイクアウト専門店への業態変更に係る商品受渡窓口の設置工事、業態変更に伴う店舗改装工事と、事業を実施するうえで欠かすことのできない内容であることが示唆されています。
反対に、対象にならない例では、単なる改装工事や人件費に台頭するとみなされる工事、補助事業に直接的に必要と認められない工事などが挙げられています。また、不動産に取得に該当する工事(新築工事)も対象外となっております。
なお、ものづくり補助金も外注費が対象経費としてありますが、建物に関する記載がないため認められませんのでご注意ください。
建物の改修や新築を経費として補助金の申請を行いたいとき
以上、建物の改修や新築を経費として申請できる補助金についてご説明しました。
当社では、事業再構築補助金や神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金にて、建物改修費用に関して交付決定がされ、実際に補助金が振り込まれた事例がございます。
もし建物費の経費申請を検討されている場合は、お気軽に当社までご相談ください。