補助金コンサルタントの選び方

補助金を申請する際の必要書類の一つである事業計画書は。採択の重要な判断基準となります。事業計画書を作成する方法は、2つあります。

  • 経営者や社員など、事業者様が独自で作成する
  • 金融機関や税理士、経営コンサルタントなどの外部の人材を使って作成する

2つを比べると、経営事情をよく知る事業者様自身で作成し申請されるのが理想的です。

ただ、現実的には下記の理由からお勧めしておりません。

1. 採択される事業計画書を作成するのが難しい

2. 事業計画書作成のための時間がとられ本来の業務が滞る

3. 期限内に事業計画書を作成することが難しい

その理由を詳しく説明いたします。

事業者様が独自で補助金の申請書を作成するデメリット

1. 採択される事業計画書を作成するのが難しいため

補助金の採択率は一般的に30%から40%程度になるよう調整されます。採択されるためには、公募要領に書かれている審査基準を理解し、それらを満たし、かつ審査員が理解しやすい計画書に仕上げる必要があります。

ものづくり補助金の審査基準は、11次公募の場合、(1)補助事業としての適格性、(2)技術面、(3)事業化面、(4)政策面、(5)炭素生産性向上の取り組みの妥当性、(6)加点項目、(7)減点項目の7からなっております。このなかで、直接事業計画書に記載する項目としては、

(2)技術面

(3)事業化面

(4)政策面

(5)炭素生産性向上の取り組みの妥当性

の4つなります。(5)はグリーン枠というやや特殊な枠ですので、一般的な通常枠で考慮すべき項目は、(2)から(4)の3つになります。

また、それぞれの項目について内容が詳細に書かれており、例えば(2)技術面では、

技術面

① 新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組みであるか(グローバル展開型では、地域内での革新性だけではなく、国際競争力を有しているか)。

② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。

③ 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。

④ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

の4つが記載されています。

採択されるためには、これらの審査基準の意味を正確に理解し、自社がこれから行おうとしている事業がそれに対応することを説明しなくてはなりません。

2. 事業計画書作成のための時間がとられ本来の業務が滞るため

補助金の申請作業は複雑です。慣れていないと、審査項目を理解しそれに対応するだけでも相当な時間を要してしまいます。

さらに、把握すべきことは審査項目だけではありません。決算書や見積書など用意すべき書類、加点を狙うために用意すべき書類、対象となる経費の種類や額など公募要領全体の把握も重要です。また、申請作業も、以前の郵送による申請と比べてweb上で完結する電子申請になり事業者様の負担が減りましたが、記載事項に間違いはないか、添付書類は正しくアップロードしているかなど、神経を使う作業であることには変わりありません。

そして、経営者様の貴重な時間を使って補助金を申請したとしても、必ず採択されるわけではありません。その場合は、経営判断に費やすべき貴重な時間が無駄になってしまいます。

3. 期限内に事業計画書を作成することが難しいため

結局は間に合わず時間切れとなってしまうことを指します。補助金は必ず公募締切という期限が存在します。設備投資計画時期のタイミングに合うように、補助金の申請をされることが多いと思いますが、申請が遅れてしまうと、設備投資のタイミングも遅らせざるを得ません。本来の事業計画に狂いが生じ、ビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。補助金を申請するために、設備投資を遅らせ、ビジネスチャンスを逃すというのは、本末転倒になります。

補助金の申請を外部の専門家に依頼する際にチェックすべきポイント

以上の3つの理由から、当社に相談に来る経営者の方には、ご自身で作成することはお勧めしておりません。そこで、金融機関や税理士、経営コンサルタントなどの外部の専門家に事業計画書の作成支援を依頼することをお勧めしております。

では、どのような外部の専門家に支援を依頼すればよいのでしょうか。当社では3つの視点から、選定されることをお勧めしております。

1. 採択率が高く採択件数が多い専門家

2. 着手金や成功報酬の額が適正な専門家

3. 補助金受給まで支援してくれる専門家

1. 採択率が高く採択件数が多い専門家であること

外部の専門家に頼むのであれば、採択実績が豊富な専門家に依頼するのは当然かと思います。ここで気を付けて頂きたいのは、採択率だけには注目しないことです。極端な話、1件携わって1件採択されれば、採択率は100%となります。ある程度の採択実績(数十件以上)があり、補助金の平均採択率より高い採択率(目安として70%以上)であることを確認してください。

また、専門家のウェブサイトに採択事例が乗っていれば、経営者様が検討している設備と近いかどうかもご確認ください。補助金のコンサルタントでも、製造業の工作機械導入に強い場合や、小売業のECサイトなどのシステム構築に知見が豊富な場合、あるいは、歯科医や動物病院などの特殊な医療器具に精通している場合など、対象とする設備に応じて得手不得手があります。

さらには、実際に支援する担当者もご確認ください。補助金申請をチームを組んで支援しているコンサルタントも多いのですが、営業窓口は実績が豊富なコンサルタントが対応し、実際の業務は駆け出しの中小企業診断士ということもあります。担当するコンサルタントがだれなのか、確認をしましょう。

2.着手金や成功報酬の額が適正な専門家であること

コンサルタントに支援を依頼すると、もちろん費用が掛かります。多くのコンサルタントはは、採択に至らなくても発生する着手金と、採択されて生じる成功報酬に分けて請求しています。なかには、着手金が不要で成功報酬のみ請求するコンサルタントもいますが、その場合は成功報酬がやや高めとなることが多いです。

それでは、適切な着手金や成功報酬の額がいくらかになるかということですが、市場価格としては一般的に、着手金は10万円から25万円、成功報酬は交付決定額の10%~15%という場合が多いです。成功報酬のみの場合は、交付決定金額の20%というところも見受けられます。

一方、国家資格で唯一の経営コンサルタントである中小企業診断士の一般的な業務に対する報酬額ですが、JNet-21によると、診断業務や経営指導などの業務内容によって多少ばらつきはあるものの、1日当たり10万円程度になっています。つまり、時給換算ですと12,500円程度(8時間勤務)です。

申請書作成支援に掛ける時間ですが、ものづくり補助金のデータポータルサイトによると、採択率が50%を超える場合、40~120時間程度かかっています。平均して80時間とすると、中小企業診断士が事業計画書支援に掛ける工数は、ちょうど100万円となります。

事業計画書作成支援の価格が、一般的な市場価格と、時給や作成時間の工数から積み上げた価格をご参考に、依頼しようと考えているコンサルタントの価格と比べて妥当かどうか、ご判断ください。

なお、当社の費用ですが、着手金は10から15万円(税別)、成功報酬は交付決定額の10%、ただし上限150万円(税別)となっています。

ところで、なぜ多くのコンサルタントは、着手金と成功報酬に分けて設定していると思いますか。わたくしは、下記のように考えています。

着手金は、事業者様の補助金申請に挑戦する決意を示していただくものであり、成功報酬は、事業者様が新しいビジネスによって得られる経済的利益の一部の分配、と考えております。

事業計画書作成支援には、経営者様の協力が欠かせません。特に、経営者様から事業計画を聞き出すために、十分なヒアリングが必要となります。わたくしも1度だけ、駆け出しのころ、受注したいがために、着手金なしで作成支援を承ったことがありました。しかし、その経営者様は多忙を理由にヒアリングの時間を設けて頂くことが難しかったため、中身のない薄っぺらい計画書になり、採択には至りませんでした。これはわたくしの推測ですが、経営者様は自ら身銭を切っていないため、もし採択に至らなくても、自分は損をしない、という考え方だったのではないかと思います。もちろん私の力不足もありますが、補助金申請業務をすべてコンサル任せにして真摯に取り組むことができなかったことによる、結果だと思います。わたくしはこの反省を踏まえ、必ず着手金を頂くようにし、経営者様の本気度を確認させて頂いています。

3. 補助金受給まで支援してくれる専門家であること

コンサルタントの支援範囲にも気を付けておく必要があります。コンサルタントの中には、事業計画書の作成支援のみ行い、採択後に成功報酬を請求して支援を打ち切ってしまうものもいます。実は、採択後の交付申請や実績報告書といった、経理書類のまとめ方や報告書の作成なども、補助金を受給するためには必要な支援なのですが、それら別料金で提案しているコンサルタントもいます。

たしかに、事業計画書の作成支援が最も時間や労力を費やし、コンサルタントの能力が発揮される業務なのですが、交付申請や、交付決定から実績報告までの経理書類のまとめや報告書の作成も、コンサルタントの管理能力が問われる業務となります。そして、交付決定後の業務はかなり複雑ですので、公募要領を正しく理解していないと経理書類の用意や作成がスムーズに進まず、事務局の担当者から不備があればその作成し直しが必要となります。もし、不適切な対応をしてしまうと、補助金の受給がされないこともあり得ますので、やはりコンサルタントの支援をお願いしたほうが良いかと思います。

したがって、コンサルタントに補助金の申請業務を依頼する際には、追加料金なしで、申請書の作成支援から補助金の受給まで一貫して対応してくれるかどうか、確認してください。

当社では、もちろん追加料金なしで、申請書の作成支援から交付決定後の経理書類のまとめ方のアドバイス、実績報告書の作成支援まで行い、補助金の受給までご一緒させていただきます。そして、補助事業期間中の事務局との対応も致します。

以上、補助金コンサルタントの選び方をご説明いたしました。補助金は申請から受給までおよそ1年ほどかかる、長期間の業務となります。わたくしがご支援したお客様の中には、当初支援を依頼したコンサルタントと交付決定後にトラブルになり、成功報酬を満額支払ったのにもかかわらず、支援を一方的に打ち切られた方もいらっしゃいます。そのような悪質なコンサルタントも中にはいますので、コンサルタントとの相性、取り交わした契約内容の確認、ウェブサイトでの実績の確認などをしてから、依頼することをお勧めいたします。

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