ものづくり補助金【デジタル枠加点解説1】DXに対する自社の取り組みを公表し加点を狙う

ものづくり補助金14次公募のデジタル枠は、3つの基本要件に加えて5つの加点項目があります。

そのうち、AからCの3つに関しては互いに関連しておりますので、3つまとめて解説しましょう。

公募要領には下記のように書かれております。

A.経営の方向性及びデジタル技術等の活用の方向性の決定
a.デジタル技術が社会や自社の競争環境にどのような影響を及ぼすかについて認識、その内容について公表
★※ホームページの URL と掲載場所等を記載いただきます。
b.上記a.を踏まえた経営ビジョンやビジネスモデルを策定・公表
★※ホームページの URL と掲載場所等を記載いただきます。

B.上記A.の経営ビジョンやビジネスモデルを実現するための戦略を公表
★※ホームページの URL と掲載場所等を記載いただきます。

C.上記B.の戦略を推進するための体制・組織(CIO(最高情報責任者)の配置、担当部門の配置等)を示し、公表
★※ホームページの URL と掲載場所等を記載いただきます。

引用元:ものづくり補助金14次公募要領p34

A. 経営の方向性及びデジタル技術等の活用の方向性の決定

a.デジタル技術が社会や自社の競争環境にどのような影響を及ぼすかについて認識、その内容について公表

まず、デジタル技術に関してですが、具体的にどのような技術を指すのか明確な定義を見つけることができませんでした。

しかし、IPAが発行するDX白書2023の第4章を見ると、デジタル技術の獲得・活用の方針を問うアンケートでデジタル技術として、クラウド、SaaS、データ分析ツール、RPA、AIの5つが挙げられていました。したがって、デジタル技術とは少なくともこれらの技術を指すと考えられます。

次に、これらのデジタル技術が、自社の競争環境にどのように影響を及ぼすかを認識する必要があります。

競争環境とは、自社、顧客、そして競合(社会)の3つの軸(3C分析)で考えると整理しやすいかもしれません。

社会に関しては、政治的要因、経済的要因、社会的要因、そして技術的要因の4つの観点(PEST分析)から行うと整理しやすくンると思います。

例えば、まず自社のビジネスや提供するサービス、製品を述べ、新型コロナウイルス感染症による社会の変化やニーズが変容するなど環境が変わったため、それに対応し顧客満足度を高める取り組み内容を示す必要性を認識している、などとまとめると伝わると思います。

b.上記a.を踏まえた経営ビジョンやビジネスモデルを策定・公表

aで述べたような影響や変化があるため、自社がどのようなビジョンやビジネスモデルを考えているかを示す必要があります。

経営ビジョンとは、自社のあるべき姿を明文化したものです。そしてビジネスモデルとは、いわゆる自社が製品やサービスを顧客に提供することで「儲かる仕組みを」示したものです。

DXは目的ではなくビジョンを達成するための手段ですので、経営ビジョンが大きく変わることは少ないと思います。

したがって、従来から掲げているものがあれば、改めて強調するなど、経営ビジョンを意識することを伝えればよいと思います。

一方、ビジネスモデルに関しては、デジタル技術によって大きく変わります。

例えば、これまでCDやDVDの販売やレンタルサービスは、ストリーミングサービスによって大きく減少しましたし、対面販売が主流であった書籍や食品などのモノは、ECプラットフォームによってインターネットでの販売が可能になりました。

これまでリアル・対面で行ってきたサービスや、作業者や担当者の経験や勘で属人化してきたサービスを、クラウドサービスやSaaSを活用することでバーチャル・遠隔で提供し、データ分析ツールやAIの導入により人に依らない作業や品質の標準化を目指すなど、デジタル技術を取り入れたビジネスモデルを策定すればよいでしょう。

B.上記A.の経営ビジョンやビジネスモデルを実現するための戦略を公表

戦略とは、企業が進むべき方向を示したものです。DX戦略の策定に関しては、その全体像がDX白書2023に書かれております。

まずDX推進によって達成すべきビジョンを定める。次に「外部環境変化とビジネスへの影響評価」を考慮したうえで、「取組領域の策定」および「推進プロセス策定」を行い、達成に向けた道筋を整理することが必要である。

達成すべきビジョンはAbで作成し、「外部環境変化とビジネスへの影響評価」に関してもAaで評価しました。ここでは戦略として、「取組領域の策定」と「推進プロセス策定」を述べればよいと思います。

取組領域は3つの段階に分けることができます。単純にアナログ・物理データのデジタルデータ化に相当するデジタイゼーション、個別の業務・製造プロセスのデジタル化、業務の効率化による生産性の向上、既存製品・サービスの高付加価値化に相当するデジタライゼーション、組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、顧客起点の価値創出のための事業やビジネスモデルへの変革、新規製品・サービスの創出や、企業文化や組織マインドの根本的な変革に相当する、デジタルトランスフォーメーションです。

例えば、配車サービスを事業とする事業者の取り組み内容を考えると、これまで紙に書いていた配車実績情報の電子化はデジタイゼーション、オペレーターが顧客から電話をうけ市中を走る車に指示を出していた配車業務の自動化はデジタライゼーション、クラウド上に天気やイベントなどのデータと配車実績を蓄積し、それらを重回帰分析などのデータ分析により将来の需要予測を行う配車プラットフォームの構築はデジタルトランスフォーメーションに相当します。

DXは、不確実性が高くデジタル技術の適用可能性がわからず予測困難であり、試行錯誤的な取り組みが必要であるということから、DXを実現するための推進プロセスとして「アジャイル的な取り組み」が手段として推奨されています。

アジャイル的な取り組みとは、企画・実行・学習のサイクルを継続的かつスピード感をもって反復することです。

アジャイル的な取り組みを進めていくうえでは、人材、組織・役割、プロセス・ルールの3点の整備が必要となります。

人材面ではアジャイルマインドや越境志向、心理的安全が確保される職場づくり、組織・役割の面では機能横断チームの組成、プロセスルールでは、従来の画一的な起案プロセス・ルールを見直すなど、環境を整備することが必要となります。

戦略として、3つの段階である取組領域の策定と、アジャイル的な取り組みを実現するために整備すべき3点を記載した推進プロセスの策定を記載すればよいと考えられます。

C.上記B.の戦略を推進するための体制・組織(CIO(最高情報責任者)の配置、担当部門の配置等)を示し、公表

DX白書2023によれば、

DXの推進に当たっては、経営層、業務部門、IT部門が協働してビジネス変革に向けたコンセプトを描いていく必要がある

と述べてます。

中小企業であればそれぞれの責任者が担当することが多いと思いますので、所属と名前を示せばよいでしょう。

小規模事業者に関しては経営者が全ての役割を兼ねることになると思いますので、その旨を示せばよいでしょう。

また、

DXを推進する関係者の間で基礎的な共通理解を初めに形成することが求められる。DX推進のために経営資源の配分について経営トップと対等に対話し、デジタルを戦略的に活用する提案や施策をリードする経営層が最高デジタル責任者(Chief Digital Officer; CDO)である。

とありますので、CDOを割り当てることでDXに取り組む役割・権限および責任が明確になります。

申請の際には、これらの内容を自社のウェブサイトに掲載しましょう。

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