弊社は創業まもない会社です。
活用できる補助金はありますか?
回答:中小企業診断士
はい、創業間もない事業者様でも活用できる補助金があります。ものづくり補助金、事業再構築補助金、小規模持続化補助金といった有名な補助金を活用する際の注意事項について説明します。また、それらの補助金以外にも創業者のための施策がありますので、それも詳しくご説明いたします。
①ものづくり補助金
ものづくり補助金の趣旨は、「中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するもの」です。
したがって、新商品や新サービスの開発や提供を目指しているが、現状の生産プロセスに対して課題があるため遂行することができないため、設備投資によって課題を解決するというストーリーになります。創業間もなく、売上実績がほとんどない状態では、改善する生産プロセスが確立していないため、やや厳しいかもしれません。
しかし、弊社では、創業したばかりの個人事業主のお客様で、雇用している従業員もゼロでしたが、システム開発の採択事例がございます。
ものづくり補助金の場合は創業者加点もありますし、事業計画の内容がしっかりしていれば採択も可能ですので、まずはご相談ください。
ただ、注意すべき点として、設立間もなく決算を迎えていない場合、事業計画書と収支予算書を提出する必要があります。
もし、日本政策金融公庫に創業者融資の相談(④で紹介)をしていれば、その時に作成した創業計画書や収支計画書を活用できますので、検討してみましょう。
②事業再構築補助金
事業再構築補助金は、その趣旨としては「新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援」するものです。
また、申請要件では売上高減少要件というものがあり、コロナ禍(2020年4月以降)の売上高が、コロナ前(2019年、2020年1から3月)のものよりもある程度減少していることが必要です。
コロナ禍になってから創業した場合は、比較するコロナ前の売上高がない場合があるのですが、公募要領を詳しくみると、創業した期間に応じて売上高減少を証明する方法があります。対象となるのは、下記の2パターンとなっております。
(1)2019年1月1日から2020年3月31日までに創業した場合、
(2)2020年4月1日から2020年12月31日までに創業した場合
(1)の場合は、創業日から2020年3月31日までの1日当たりの平均売上高に、申請に用いる任意の3か月と同日数分を掛けた売上高をコロナ以前の売上高として、(2)の場合は、創業日から2020年12月31日までの1日当たりの平均売上高に、申請に用いる任意の3か月と同日数分を掛けた売上高をコロナ以前の売上高として、比較対象とすることができます。
なお、2021年以降に創業した方に対しては、それに相当する記述がないため、対象外になる可能性があります。
1点注意したいのは、事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症によって既存事業が悪化した事業者に対して、新しい分野への展開や、事業や業種を転換しようとする事業者のの事業遂行を支援するものです。
他の補助金と比べて補助額が大きく、融資と異なり返済が不要であることが魅力的ですが、事業再構築補助金の目的と照らし合わせると、創業間もない事業者に対してはお勧めできるものではないと思います。
なお、グリーン成長枠に関しては売上高要件は課されていないため、上記の要件を満たす必要はございません。
③小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、通常枠とは異なる創業枠というものが用意されております。
一般的な小規模事業者が応募するのは「通常枠」という、補助率2/3, 補助上限額50万円なのですが、「特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者は、補助率2/3, 補助上限200万円の創業枠にて申請することができます。
「特定創業支援等事業の支援」とは、これから創業をされる方や、創業後間もない方に対して、「経営」、「財務」、「人材育成」、「販路開拓」に関する知識の習得を目的とした、セミナーや窓口相談、専門家派遣です。創業枠で申請する場合は、その支援を受けた証明書を用意して添付しましょう。
「特定創業支援等事業の支援」についてですが、当社が本社を置く横浜市の場合、上記4つの知識を習得する創業セミナーが開催されており、2時間程度のセミナーを4回受講し、横浜市に申請することで証明書が発行されます。
自治体によって、開催時期や条件が異なることがありますので、近くで開催していないか確認してみましょう。
なお、「特定創業支援等事業の支援」は、メリットが4つあります。株式会社や合同会社を設立するときの免許税が半額になる登録免許税の減免、(横浜市の場合)横浜市中小企業融資制度「創業おうえん資金」の利率優遇と利用可能期間の前倒し、日本政策金融公庫での新規開業資金の利率優遇ならびに新創業融資制度の自己資金要件の緩和、そして、本稿で説明した小規模事業者持続化補助金の創業枠への申請、です。
創業を検討される方はぜひ「特定創業支援等事業の支援」の活用をお勧めします。
④そのほかの施策
自治体でも、独自の創業支援を行っています。例えば東京都では、創業助成事業と呼ばれる、都内での操業を予定している場合や、創業と5年未満であっても一定の要件を満たせば申請し、審査を通過すれば補助金がおります。助成金額は300万円で募集回数は春と秋の年2回です。
当社が本社を置く神奈川県においては、創業支援融資があります。
こちらは融資制度ですので、返済が必要な資金になります。なお、創業資金を融資で調達するには、まず日本政策金融公庫に相談することを検討してみてはいかがでしょうか。公庫では、新創業融資制度と呼ばれる、創業者向けの融資制度を整えています。
いかがでしたでしょうか。創業を予定している場合、活用できる補助金もありますが、創業に適した融資制度も用意されております。
ただ、補助金も融資も審査がありますので、事業内容やビジネスモデルをアピールし、きちんとした売上計画や資金計画を立てた事業計画書が必要となってくるでしょう。
当社でも、創業時の資金調達に関するご相談に対応することは可能ですので、操業を検討されている場合でも、お気軽にご相談ください。