省エネ補助金 設備単位型とは 対象設備・補助率・申請の流れ

省エネ補助金 設備単位型とは 対象設備・補助率・申請の流れ

省エネ・非化石転換補助金「設備単位型」とは──まず知っておきたい全体像

「30年ほど前のマシニングセンターを入れ替えたいが、使える補助金があるかどうか分からない」「省エネ補助金という名前は聞くが、自社の設備が対象になるのか、補助率がいくらになるのか公募要領を読んでも整理しきれない」──中小製造業の経営者・事務責任者からは、こうしたお悩みをよくうかがいます。

老朽設備のリプレイスに使える国の補助金は、実質的に省エネ・非化石転換補助金(旧称:省エネルギー投資促進支援事業)以外に選択肢がない、というのが実務上の現状です。だからこそ「対象になるかどうか」「どの枠に該当するか」の見極めが、そのまま投資計画の成否を左右します。

本記事では、この補助金のうち「設備単位型」に絞り、次の内容を順に整理します。

  • 設備単位型とは何か、どのような特徴を持つ制度か
  • 自社の投資がどの区分(対象タイプ)に当てはまるかの見分け方
  • 補助率・補助上限額が枠によってどう変わるか
  • 申請にあたって準備すべきもの、審査で見られる観点
  • 申請から成果報告までの大まかな流れと期間の目安
  • つまずきやすいケースと、その回避に必要な考え方

読み終えた時点で「自社の設備がどの区分に当たりそうか」「どこに手間がかかりそうか」の見当がつく状態を目指します。ただし、提出書類の細部や審査基準、公募スケジュールなど、実際の申請時に必要となる最新情報は本記事だけでは網羅できません。この点は該当箇所で改めてご案内します。

設備単位型とは──工場・事業場型との違い

本補助金は一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が実施する事業で、「工場・事業場型」と「設備単位型」の2つの事業に大きく分かれます。このうち設備単位型は、工場全体ではなく設備単位を対象範囲として省エネを図る取組を支援するもので、老朽設備の更新を検討している場合にまず確認すべき区分です。

設備単位型の特徴は、複数設備・複数工程を横断した省エネ計画を組む必要がなく、更新・新設する設備1台(またはひとまとまりの設備群)を対象に、省エネ効果を示すことで申請できる点にあります。工場・事業場型がEMS導入や生産ライン全体の最適化といった、より大きな計画立案を伴うのに対し、設備単位型は「この設備を、この設備に入れ替えることで、これだけ省エネになる」という単純な構図に落とし込みやすいのがメリットです。

一方で、ここで注意したいのは、「設備単位型」という言葉が単一の枠を指すのではなく、次の6区分の総称としてSIIの特設サイト上で整理されている点です。

  • (Ⅲ)設備単位型(従来枠)
  • (Ⅲ)GX設備単位型(メーカー強化枠)
  • (Ⅲ)GX設備単位型(トップ性能枠 更新事業)
  • (Ⅲ)GX設備単位型(トップ性能枠 新設事業)
  • (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型(更新・改造事業/新設事業)
  • (Ⅳ)エネルギー需要最適化型

この6区分は、対象設備も補助率も要件もそれぞれ異なります。「設備単位型は補助率1/3」といった単純な理解のまま進めると、後述するように補助額の見込み違いにつながりますので、まずは自社の投資が6区分のどれに当てはまるかを確認することが最初の関門になります。

判断基準として、単一の設備の更新・新設で完結する投資であれば設備単位型、複数設備や工程を横断した省エネ・EMS導入で工場全体の効率化を図るのであれば工場・事業場型、という線引きがまず出発点です。両者は別事業として公式サイトも分かれているため、混同しないようご注意ください。

自社は対象になるか──6区分の見分け方

自社の設備投資がどの区分に該当するかは、対象設備の種類と、どのような省エネの図り方をするかで決まります。ここでは「自社が対象になるか」を判定できるよう、区分ごとの要件をh3で整理します。

(Ⅲ)設備単位型(従来枠)・(Ⅲ)GX設備単位型(メーカー強化枠)

省エネ型の指定設備へ更新する、最も基本的な区分です。対象となる指定設備は次の①〜⑮に整理されています。

  • ①高効率空調 ②産業ヒートポンプ ③業務用給湯器 ④高性能ボイラ ⑤高効率コージェネレーション ⑥低炭素工業炉 ⑦変圧器 ⑧冷凍冷蔵設備 ⑨産業用モータ ⑩制御機能付きLED照明器具 ⑪工作機械 ⑫プラスチック加工機械 ⑬プレス機械 ⑭印刷機械 ⑮ダイカストマシン

マシニングセンターなどの工作機械は⑪に該当します。これ以外にも「その他SIIが認めた高性能な設備」として指定された設備が対象になる余地があります。

省エネ要件は、①省エネ率10%以上、②省エネ量1kl以上、③経費当たり省エネ量1kl/千万円以上、のいずれかを満たす必要があります。メーカー強化枠は、GXへの取り組みを表明しているメーカーが販売する省エネ型設備に限られる点が従来枠との違いです。たとえば同じ工作機械への更新であっても、購入予定のメーカーがGX表明メーカーに該当するかどうかで、使える枠が従来枠になるかメーカー強化枠になるかが変わってきます。

(Ⅲ)GX設備単位型(トップ性能枠 更新/新設)

従来枠の指定設備よりもさらにエネルギー消費効率が高い「トップ性能設備」への更新・新設を対象とする区分です。対象は次の5区分に絞られます。

  • 高効率空調(AI制御でさらに省エネを図る電気式パッケージエアコン)
  • 産業ヒートポンプ(中・高温帯対応の熱風・蒸気発生・MVR型蒸発装置)
  • 高性能ボイラ(台数制御装置によりシステム効率を最適化するもの)
  • 低炭素工業炉(高効率バーナーを搭載した工業炉)
  • 産業用モータ(IE4以上、または熱回収機能付き圧縮機)

ここで実務上の注意があります。トップ性能設備は指定設備一覧の中でも設備区分等を指定して検索しないと出てこない構成になっており、一覧をざっと眺めただけでは見落としやすい設計です。候補設備が従来枠なのかトップ性能枠なのかは、この検索を丁寧に行わないと判断を誤ります。工作機械はこのトップ性能枠の対象5区分には含まれていないため、工作機械の更新を検討している場合は、そもそもトップ性能枠の対象外であることも押さえておく必要があります。

(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型(更新・改造/新設)

化石燃料から電気への転換、あるいはより低炭素な燃料への転換によって脱炭素化を図る区分です。産業ヒートポンプ、業務用ヒートポンプ給湯器、高性能ボイラ、高効率コージェネレーション、低炭素工業炉などの指定設備への更新が対象になります。

水素燃料を活用する場合は、10%以上の混焼率で実稼働させることが要件となります。またヒートポンプ等との併用も一部認められていますが、その場合でも将来的には非化石転換に向けたリプレースを目指すことが求められる、という前提が付いています。既存設備を水素燃焼可能な設備に改造するための付帯設備も対象に含まれます。ボイラや工業炉を燃料転換とあわせて更新したい、という相談は実務上よく出てきますが、この区分は工作機械の更新には基本的に当てはまりません。自社の投資目的が「省エネ」なのか「脱炭素・燃料転換」なのかによって、選ぶべき区分が変わる点は意識しておく必要があります。

(Ⅳ)エネルギー需要最適化型

EMS(エネルギーマネジメントシステム)を導入し、事業所や生産ラインのエネルギー最適化を図る区分です。省エネ要件は原油換算量ベースで2%改善を目安とし、EMS活用計画の作成と、改善成果の公表が求められます。

注意したいのは、EMSを単独で導入する場合は、この設備単位型の(Ⅳ)ではなく工場・事業場型の(Ⅳ)に申請すべきとされている点です。失敗パターンとして、自社設備がどの区分に当たるかを誤認したまま申請準備を進め、要件不一致に途中で気づいて手戻りになるケースが起こり得ます。特にEMS単独導入と、設備更新に付随するEMS活用は別物として扱われるため、混同しないよう注意が必要です。

補助率・補助上限額──枠によって大きく異なる

「設備単位型=補助率1/3」という理解のまま投資計画を立てると、実際の補助額と見込みがずれることがあります。枠ごとの補助対象経費・上限額・補助率を整理すると、次のとおりです(公募要領の版により変更され得るため、必ず最新情報でご確認ください)。

申請タイプ 補助対象経費の範囲 上限額(事業全体) 補助率
(Ⅲ)設備単位型 従来枠 設備費 1億円 1/3以内
(Ⅲ)GX設備単位型 メーカー強化枠 設備費 3億円 1/3以内
(Ⅲ)GX設備単位型 トップ性能枠<更新事業> 設備費 3億円 1/2以内
(Ⅲ)GX設備単位型 トップ性能枠<新設事業> 設備費 3億円 1/5以内
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型(更新・改造) 設備費・工事費(付帯設備含む、工事費は中小企業者等に限る) 3億円(電化の場合5億円) 1/2以内
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型(新設) 設備費・工事費(工事費は中小企業者等に限る) 3億円 1/5以内
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型 設計費・設備費・工事費 1億円 中小企業者等1/2以内/大企業等1/3以内

この表から分かるとおり、工事費が補助対象に含まれるのは(Ⅱ)型・(Ⅳ)型のみで、しかも工事費は中小企業者等に限られます。(Ⅲ)型の従来枠・GX設備単位型は設備費のみが対象で、工事費は対象外です。設備の入れ替えに伴う搬入・据付・配線などの工事費まで補助対象になると想定していると、実際の補助額との差が大きくなりますのでご注意ください。

また、上限額は「事業全体」あたりの金額です。1件の設備更新ごとに上限が付くわけではなく、事業全体でこの金額に収まるかどうかという見方になります。複数台の設備を同時に更新する計画であれば、その合計額を上限額と照らし合わせて考える必要があります。

比較軸としては、補助率の高さだけで枠を選ぶのではなく、対象経費の範囲(設備費のみか、工事費まで含むか)まで含めて比較することが重要です。トップ性能枠<更新事業>は補助率1/2以内と高い一方で対象は設備費のみ、電化・脱炭素燃転型は補助率1/2以内で工事費まで含められる、というように、枠によって経費の組み方自体が変わってきます。たとえば工作機械の更新で搬入・据付工事に相応の費用がかかる場合、その工事費が補助対象に入らない従来枠と、工事費まで含められる可能性のある区分とでは、実質的な自己負担額の差が無視できない大きさになることがあります。

指定設定と独自設定──省エネ達成基準を満たせない場合の対応

対象設備・補助率と並んで、実務上つまずきやすいのが省エネ効果の算定方法です。省エネ量・省エネ率の算定には、あらかじめ用意された計算式・係数を用いる「指定設定(指定型)」と、実測値を根拠にする「独自設定(独自型)」という考え方があります。

まず指定設定で省エネ達成基準(省エネ率10%以上など)を満たせるかどうかを確認するのが基本の進め方です。既存設備の使用年数や仕様によっては、指定設定の計算だけでは基準に届かないケースがあります。この場合に選べるのが独自設定で、旧設備・新設備それぞれの消費電力を実測・仕様資料で根拠づけ、実際の省エネ効果を算出して申請する道です。

独自設定は「特別に厳しく審査される」というものではありません。SIIのマニュアルに沿って計算のロジックが整い、根拠となる資料がしっかりしていれば、指定設定と同じように審査を受けられます。ただし、審査する事務局が計算過程を無理なく追える、説明しやすくすっきりとした資料に整えることが重要になります。ここは経験の差が出やすい部分で、根拠資料の組み立て方次第で事務局とのやり取りの往復回数が変わってきます。

実測を行う場合、旧設備は稼働時の電力を一定期間測定し、新設備はメーカーから消費電力に関する仕様資料を取得して両者を突き合わせる、という組み立てになります。電力測定には数週間〜1か月弱程度の期間を見ておく必要があり、日報など稼働実態と突き合わせて「どのような加工でどれだけ稼働していたか」まで整理することになります。この稼働実態の整理は、単に測定機器を設置すれば済むものではなく、生産計画の繁忙期・閑散期をどう測定期間に反映させるか、休止時間をどう扱うかといった判断が必要になり、ここでの整理の粗さがそのまま根拠資料の説得力に響きます。

ある相談事例に見る、指定設定から独自設定への切り替え

実際にご相談いただいた例をもとに、独自設定に切り替える際の流れを紹介します。従業員20名ほどの製造業で、30年ほど前に導入したマシニングセンターの更新を検討されていたケースです。投資額はおおよそ2,000万円〜3,000万円ほどでした。

このケースで判断の第一歩として最初に確認したのは、更新対象となる旧設備のメーカー・型番情報が入手できるか、そしておおよそ何年前に購入した設備かという点でした。カタログや設備情報登録の有無を確認するところから着手し、指定設定での試算を行いましたが、このケースでは指定設定の計算だけでは省エネ達成率の基準を満たすことができませんでした。

そこで独自設定に切り替え、実測による申請へと進めました。旧設備については、稼働時の電力を数週間からひと月弱ほどの期間をかけて実測し、新設備についてはメーカーから消費電力に関する仕様資料を提供してもらい、両者を根拠資料としてまとめました。電力測定は自社のIoTシステム・センサーを用いて実施し、測定した数値を現場の日報と突き合わせて、どのような加工にどれだけの時間を要していたかまで確認したうえで根拠資料に落とし込みました。この電力測定は自社で対応できるため、測定費用を別途いただくことなく支援費用の中でまかなっています。

このケースが示すとおり、独自設定は「実測すればよい」というだけの単純な作業ではなく、旧設備・新設備それぞれの根拠資料をどう組み立て、事務局が計算過程を無理なく追える形にできるかが実務上の勘所になります。

自社設備が対象かどうかを確認する方法

設備単位型の各区分の要件は前述のとおりですが、「自社が更新しようとしている型番の設備が、実際に指定設備として登録されているか」は、公募ページの記載だけでは判断できません。SIIの特設サイトには、次のような確認ツールが用意されています。

  • 指定設備一覧
  • 先進設備・システム一覧
  • エネマネ事業者検索
  • 省エネ活用事例検索
  • 省エネ計算プログラム

実務上、最初に確認すべきは「更新対象設備のメーカー・型番」と「現在使用している設備がいつ頃購入されたものか」です。型番が分かればメーカーのカタログや設備情報登録の有無を確認でき、これが指定設備一覧との照合や、独自設定に切り替える際の根拠資料の起点になります。旧設備が古く、カタログや仕様書がすぐに出てこないケースもあるため、この確認には一定の時間がかかることを見込んでおく必要があります。

指定設備一覧に該当が見つからない場合でも、「その他SIIが認めた高性能な設備」として指定される余地が制度上あります。この場合は自己判断で対象外と決めつけず、SIIの問い合わせ窓口や専門家への確認を挟むのが安全です。

判断基準として、候補設備が複数ある場合は、まず指定設備一覧で区分検索を行い、該当が見当たらなければ窓口に確認する、という順番で進めるのが現実的です。複数台の設備更新を同時に検討している場合は、設備ごとにこの確認作業が発生するため、対象台数が多いほど確認にかかる手間も比例して増える点は見込んでおいてください。

投資規模と省エネ効果で「使うかどうか」を判断する

設備単位型は「対象設備であれば必ず申請すべき」という制度ではありません。補助率が1/3〜1/2以内であっても、工事費が対象外となる枠が多いこと、申請から交付決定・実績報告・成果報告までの事務負担が発生することを踏まえると、投資規模によっては手間に見合わないことがあります。

判断の軸は大きく2つです。

  • 投資規模:投資額が小さいほど補助額の絶対値も小さくなり、事務負担との割に合わなくなりやすい
  • 省エネの割合:既存設備が比較的新しく、更新による省エネ効果が小さい場合は、そもそも省エネ要件を満たしにくい

投資額が数百万円規模にとどまる場合、補助率が1/3以内で工事費も対象外となると、実際に受け取れる補助額は限られます。その一方で、指定設備の登録有無の確認、根拠資料の作成、事務局とのやり取りといった事務負担は、投資額の大小にかかわらず一定量発生します。この釣り合いが取れないと判断する場合には、無理に申請を勧めない方がよいと考えています。実際に、補助額が小さい案件や、見積もりの取得に時間がかかり準備期間を十分に確保できない案件については、申請を見送るようお伝えしたことがあります。

逆に、既存設備が老朽化しており、更新によって明確な省エネ効果が見込め、かつ投資額が数千万円規模になる場合は、補助金を活用する価値が大きくなります。国の設備リプレイス向け補助金は現状この省エネ・非化石転換補助金以外に選択肢がないため、投資規模がこの制度の水準に合わない場合には、自治体が随時実施する補助金(頻度は不定期です)を確認するという選択肢も検討に値します。

この判断は、単に「補助額がいくらになるか」だけでなく、「自社の担当者がどれだけの工数をこの申請に割けるか」も合わせて考える必要があります。事務担当者が他業務と兼任している場合、根拠資料の作成や事務局対応にかかる時間が本来業務を圧迫することもあり、投資額に対する補助額の大きさだけで即断しない方がよい場面もあります。

準備しておきたいもの──書類・情報の一覧

申請の詳細な提出書類は公募要領・申請の手引きに定められており、公募回によって様式が更新されることもあります。ここでは、申請準備を始める前段階で手元に集めておくべき情報・資料を、実務上の目安として整理します。

準備するもの 内容・用途 注意点
更新・新設予定設備の見積書 設備費・工事費の内訳を確認するための基礎資料 工事費が補助対象外の枠もあるため、内訳を分けて取得しておく
設備のメーカー・型番情報 指定設備一覧との照合、独自設定時の根拠資料の起点 旧設備は型番が判読できないほど古いこともあり、早めの確認が必要
新設備の仕様書・カタログ 省エネ率・省エネ量の算定根拠 メーカーに個別に依頼しないと入手できない資料が含まれることがある
旧設備の稼働実績(日報等) 独自設定を用いる場合の稼働実態の裏付け 繁忙期・閑散期を含めた実態を反映できるよう、一定期間分をまとめておく
電力測定データ(独自設定の場合) 旧設備の実消費電力を示す根拠 測定に数週間〜1か月弱程度の期間を要することを見込む
事業計画・投資計画に関する社内資料 投資の位置づけ、資金計画の整合性確認 交付決定前の発注は原則不可のため、資金・納期の計画と申請スケジュールを合わせる

このほかにも、事業者の適格性を確認するための証明書類の提出が求められることがあります。具体的な書類の種類・様式・部数・提出期限、有効期限の扱いは公募要領・申請の手引きで都度指定されるため、公募情報が出た時点で内容を確認し、そこから逆算してスケジュールを組むことをお勧めします。準備段階では、証明書類の取得に時間がかかることも見込み、申請直前ではなく余裕をもって動くことをお勧めします。

申請手続きの流れと期間の目安

設備単位型の申請は、おおまかに次のような流れで進みます。ただし提出書類の詳細・審査基準・具体的な締切日程は、特設サイトの事業トップページや公募要領に別途掲載される情報であり、本記事だけでは網羅できません。申請を検討する段階では、必ずSII特設サイトの「公募情報」「申請方法」ページで最新の内容をご確認ください。

  1. アカウント作成:設備単位型用のアカウントを作成します。
  2. 公募情報の確認:公募回・締切・応募要領を確認します。公募は複数回にわたって実施されることがあり、直近では2次公募の受付が締め切られている状況が公式サイトで確認できます。次回公募の有無・時期は都度公式サイトでの確認が必要です。
  3. 設備・要件の照合:更新予定の設備が指定設備一覧のどの区分に該当するか、指定設定で省エネ達成基準を満たせるかを確認します。満たせない場合は独自設定への切り替えを検討します。
  4. 申請書類の準備:省エネ効果の算定根拠、設備仕様資料、見積書などを整えます。独自設定を用いる場合は、電力測定などの実測作業と、その結果を事務局が追いやすい形にまとめる資料作成が加わります。
  5. 交付申請・審査:ポータルサイトへの入力に加え、紙での出力・ファイリングによる提出が求められる場面があり、これらの作業量はまとまった時間を要します。事務局とのやり取りも複数回にわたることが一般的です。この窓口対応を支援者が担う契約にしておけば、事業者側の負担は入力内容の確認や必要書類の提供といった範囲に抑えられます。
  6. 交付決定・設備導入:交付決定を受けてから設備の発注・導入を行います。ここで発注時期を誤ると、次章で触れるとおり補助対象から外れるおそれがあります。
  7. 実績報告・成果報告:設備導入後、決められた取組期間を経て成果報告を行います。取組期間は公募回によって定められ、申請から成果報告までおおむね1年前後を要することが一般的ですが、具体的な期間は公募要領での確認が必要です。成果報告は基本的に1回とされていますが、この点も公募回・要領によって変わり得るため、最新情報でのご確認をお願いします。

手続き全体を通じて、ポータルサイトへの入力作業に加え、事務局が計算過程を無理なく追える説明資料をどう作るかに時間がかかる、というのが実務上の実感です。ここは指定設定・独自設定いずれの場合でも共通して発生する手間です。特に交付申請から交付決定までの期間は、審査状況によって前後することがあり、この期間中は設備の発注を待つ必要があるため、生産計画・納期調整をこの前提で組み立てておく必要があります。

つまずきやすいケースと対策

設備単位型の申請では、制度の理解不足や段取りのミスによって、途中で手戻りになったり、申請自体を断念せざるを得なくなったりするケースがあります。代表的なものを整理します。

つまずきやすいケース 原因・対策
設備区分を誤認する(従来枠とトップ性能枠の混同など) トップ性能設備は指定設備一覧で区分を指定して検索しないと見つからない構成になっている。一覧をざっと見ただけで判断しない。
補助率を高い枠(1/2以内)で見込んでいたが、実際は要件を満たさず低い枠(1/5以内)しか使えなかった 更新事業と新設事業で補助率が異なる点、要件(省エネ率・省エネ量等)を満たすかどうかで適用枠が変わる点を、投資計画の初期段階で確認しておく。
工事費を補助対象に含めて予算を組んでいたが、対象は(Ⅱ)型・(Ⅳ)型限定で、しかも中小企業者等に限られていた (Ⅲ)型(従来枠・GX設備単位型)は設備費のみが対象。工事費込みの投資計画を立てる前に、自社が使う枠の対象経費の範囲を確認する。
EMS単独導入なのに設備単位型(Ⅳ)に申請してしまった EMS単独導入は工場・事業場型の(Ⅳ)が対象。設備更新に付随したEMSかどうかで申請先の事業自体が異なる。
指定設定で省エネ達成基準を満たせず、独自設定への切り替えが遅れた 早い段階で指定設定での試算を行い、基準に届かないと分かった時点で実測の準備(電力測定期間の確保など)に着手する。
交付決定前に発注してしまう 交付決定を待たずに設備を発注すると、原則として補助対象から外れます。公募要領上の手続きの順序を守ることが前提であり、事業者側の都合で発注を急ぐと申請自体が成立しなくなる可能性があります。
投資額に対して事務負担が重く、割に合わなくなる 指定設備の確認・根拠資料の作成・事務局とのやり取りは、投資額の大小にかかわらず一定量発生する。投資規模と補助率・対象経費を先に見積もり、手間に見合うかを事前に判断する。
公募締切間際に準備を始め、書類が間に合わない 証明書類の要否・有効期限の扱いは公募要領で指定されるため、公募情報が出た時点で確認し、そこから逆算してスケジュールを組む。

特に「交付決定を待たずに発注したい」という希望は、資材調達や生産計画の都合から出てくることがあります。実際に、申請の準備段階で「先に発注をかけたい」という意向を示された事業者の方に、それでは補助対象から外れてしまうため中止するようお伝えしたものの、公募要領の内容についてご理解をいただけず、結局その案件の受託自体を見送ったことがあります。交付決定前の発注は、補助金の性質上どうしても譲れない前提であるため、当社ではこの条件を理解いただけない案件はお引き受けしない方針にしています。生産計画上どうしても納期を急ぎたい設備がある場合は、その設備は今回の申請対象から外し、時期をずらせる設備だけを申請対象にする、といった切り分けを検討することもあります。

支援を依頼する場合に確認しておきたいこと

設備単位型の申請は、指定設備の確認、指定設定・独自設定の判断、根拠資料の作成、ポータルサイトへの入力から事務局とのやり取りまで、事業者内の一人の担当者だけで完結させるにはボリュームが大きい業務です。外部の支援者に依頼する場合は、契約の段階でどこまでサポートする契約なのかを確認しておくことを強くお勧めします。特に、交付申請までで契約が終わるのか、実績報告・成果報告まで見てもらえるのかは、事業者側の負担に直結する部分です。取組期間が1年前後に及ぶこともある制度である以上、成果報告まで含めてサポートしてもらえる契約を選ぶべきだと当社は考えています。交付申請までで契約が終わってしまうと、最も手間のかかる根拠資料の追加対応や事務局とのやり取りを、後半になって事業者自身が担うことになりかねません。

参考までに、当社が本補助金の支援を行う場合、着手金10万円に加え、成功報酬として交付決定金額の10%をいただく形を基本としています。報酬は成果報告まで完了した時点で受領する形にしており、これは申請だけで終わらせず成果報告までを見届けるという方針によるものです。また、独自設定で電力測定が必要になった場合も、自社のIoTシステムで測定を行えるため、測定費用を別途いただくことなく支援費用に含めています。支援費用の相場は依頼先によって幅があるため、他の支援者と比較検討される際は、金額だけでなく、独自設定への切り替えが必要になった場合の対応可否、電力測定の実務経験の有無、事務局とのやり取りをどこまで代行してもらえるかといった観点も合わせて確認しておくことをお勧めします。

よくある質問

設備単位型と工場・事業場型はどちらを選べばよいですか

単一の設備の更新・新設で省エネを図るのであれば設備単位型、複数設備や工程を横断してEMSなどで工場全体の省エネを図るのであれば工場・事業場型が基本的な選び分けです。ただしEMS単独導入は設備単位型ではなく工場・事業場型の対象になるなど、目的によって申請先の事業自体が変わる場合があるため、迷う場合はどちらの事業ページで扱う内容かをSIIの特設サイトで確認するか、専門家に相談することをお勧めします。

補助率は必ず1/3や1/2になりますか

いいえ、枠によって1/5以内〜1/2以内と幅があります。トップ性能枠でも更新事業は1/2以内、新設事業は1/5以内と異なり、電化・脱炭素燃転型の新設事業も1/5以内です。「設備単位型だから補助率は◯%」と一律に考えず、自社が該当する枠の補助率・対象経費の範囲を個別に確認する必要があります。

自社の設備が指定設備一覧に載っていない場合はどうすればよいですか

一覧に載っていない設備でも、「その他SIIが認めた高性能な設備」として指定される余地があります。自己判断で対象外と決めつけず、SIIの問い合わせ窓口や、補助金申請の実務に詳しい専門家に確認することをお勧めします。あわせて、指定設定で省エネ達成基準を満たせない場合には、独自設定(実測による申請)という選択肢がある点も踏まえて検討してください。

複数の設備をまとめて1件の申請にできますか

複数設備をまとめて1件の事業として申請できるかどうかは、公募要領に定められた事業の単位や、事業全体で設定されている上限額の考え方によって変わります。設備ごとに区分・省エネ効果の算定方法が異なる場合は、それぞれについて要件を満たすかどうかを個別に確認する必要がありますし、まとめられるかどうか自体も公募要領で確認しておく必要があります。まとめて申請することで事務手続きの回数は減らせる可能性がありますが、根拠資料の量はむしろ増えることが多く、準備にかかる期間も長くなりがちです。台数が多い場合は、優先度の高い設備から段階的に申請することも選択肢の一つです。

まとめ──設備単位型を検討する際に押さえておきたいこと

省エネ・非化石転換補助金の設備単位型は、単一の枠ではなく6区分の総称であり、まず自社の投資がどの区分に該当するかを見極めることが最初の関門です。補助率・対象経費の範囲は枠ごとに大きく異なるため、「補助率◯%」という表面的な数字だけで判断しないことが重要です。

また、指定設定で省エネ達成基準を満たせない場合には独自設定(実測)という道があり、根拠資料をどう整えるかが審査の通りやすさを左右します。投資規模と見込める省エネ効果を照らし合わせ、事務負担に見合うかどうかを事前に判断することも欠かせません。準備段階で必要になる書類・情報は多岐にわたり、証明書類の取得に時間を要する場合もあるため、公募情報が出てから慌てて動くのではなく、投資計画の検討段階から並行して準備を進めることが望ましいと考えています。

提出書類の詳細・審査基準・公募スケジュールは、本記事だけでは網羅できない部分です。申請を具体的に検討する段階では、必ずSII特設サイトの公募情報・申請方法ページ、および最新の公募要領でご確認ください。

指定設定で基準を満たせるか分からない場合も、まずご相談ください

省エネ達成基準を満たせるかどうかは、実際に試算してみないと分からないことが多くあります。独自設定(実測)への切り替えが必要かどうかも含めて、早い段階でご相談いただくと準備の見通しが立てやすくなります。

無料相談では「補助金活用」をご選択のうえ、更新をご検討中の設備についてお聞かせください。区分判定から根拠資料の整え方まで、状況に応じてご案内します。

石川・富山・福井の補助金もあわせて確認する

省エネ・非化石転換補助金は国の補助金です。石川・富山・福井では、県や市が独自に設けている設備投資・省エネ・DXの補助金もあり、対象設備や締切が異なります。地域の制度は毎月更新でまとめています。

【毎月更新】北陸(石川・富山・福井)の中小企業が今使える補助金

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